肺癌サバイバー

 先日EテレのETV特集で肺癌サバイバーの方の記録をやっていたのでついつい見ちゃいました。かみさんは嫌がるので一緒には見れないのでNHKプラスでこっそりと。

その方は余命10ヶ月宣告を受けて13年生きながらえている方で、患者会のようなものも主催されているようです。
13年前と今とでは薬の進化も含め色々環境は違いますが、当時のきつい抗癌剤を経て、できないと言われた手術をやってくれる医者を探して受けて、がんセンターの医師や製薬会社にも働きかけ、分子標的薬など新薬の治験などにも尽力されたようです。
分子標的薬は癌細胞の遺伝子を調べて特定の型の遺伝子を持つがんに対しそこをピンポイントで攻撃する薬というもので、正常細胞は攻撃をしないというものだそうです。ただ、続けていると耐性ができて再発した場合には使えないこともあるそうで色々厄介です。新しい分子標的薬が出来ても、過去に同じ遺伝子に対する分子標的薬を使っていたら、新薬は使わせてもらえないなど制限があったそうですが、そういった事も製薬会社の働きかけて試験使用できるようにしたそうです。

今私が受けている免疫チェックポイント阻害薬も治験が始まったのが8年くらい前で、今では標準治療の一つになっていますが、当時の治験に参加された方の実績がデータとして積み上がった結果で今使ってもらっているわけです。
この薬も効果が出るのは2割くらいと言われているらしいのですが、始める前に遺伝子スクリーニングをやって、効果が出る可能性が高いと言われて始めました。
私が現在行っている治療形態は全国で200名が参加しての臨床試験で、単剤と複合使用とでの効き方の違いを2年間かけて実績をとっていきます。これによって、どちらがより効果的であったか、副作用の大小、コストパフォーマンス、QOLパフォーマンスなどをデータとしてとって、今後の肺癌治療に生かしていくというわけです。

こういったドキュメンタリーを見ると、ステージ4から完全に治るという事は無いんだろうけれども、再発を抑え込んで小康状態を保つことはできるという事だと感じます。
過去の様々な患者さんが試されたものをもとに今の治療があり、さらに新しい治療方法が開発され、それを試すことで将来の患者さんの役に立つという事になります。自分もこうなった以上は病気とはうまく付き合いながら多少は人の役に立てれば良いのではないかと思っています。